2016年01月25日

それだけではないルシ

「あれっ、ミコがいない」
たった今気が付いた様にマイが言った。皆笑った、ミコはリュウグウノツカイだ、セイレとともにマナトに向った。なっぴたちとともに戦うのだろう。ミコは単なる魚人ではなくカイリュウの力を持つものだろうと皆思っていた。

後部が切り離された『amato2』は、耐圧殻を全面にし、ゆっくり潜行を続ける。

「クククッ、愚か者め。この海底でわしと戦うつもりか。ゆっくり待っていてやる、クククッ」
不敵にダーマが壓力脫髮笑った。
「しかし、カイリュウもなめられたものだ…」
赤い目のギバが吐き出す様につぶやく。洞窟の奥では巨大な水槽に沈められた『赤いまゆ』がゆらゆらと動いていた。



「ちょうどいいところに来た、残党がこんなところにいたぞ。お前たち、しっかり見張っているのか、まあ良いこの汚いものを早く片付けておけ。わしはダーマ様に報告に行く、いいなマツカサウオ」
「仰せの通り…」
マツカサウオはそう答えて、『英雄』の亡きがらを蹴り飛ばした。エドゥルは拳を握ってこらえるとマナトを離れ、海上に向ったのである。

「追えっ!馬鹿者め、まんまと芝居にだまされおって…」
マツカサウオの報告に激怒したダーマはすぐさまサメを送り出した。しかし一足違いでフクロウナギはベルーガに連絡をいれた。それまで中立を保っていたイルカたちは喜び、続々と集結した。フクロウナギは『銀の竜』については誰にも言わなかった。ダーマによって既に彼はアガルタの裏切り者として手配されていたからだ。その年老いたベルーガは真っ先に彼を信じた。
「エスメラーダは必ずアガルタを救う、ラミナ様のときもそうだった様に」
そのベルーガこそ『ルシナ』とともに『ラミナ』を北極海に送ったイルカであった。
「わしは速くは泳げん、これをセイレ様に渡してくれ。頼むぞ…」
ベルーガにそれを渡すとフクロウナギは引き返し、サメの群れに飛び込んで行った。

「馬鹿者め、セイレ様は生きていらっしゃった。お前たちは騙されているのだぞ…」
言い終わらないうちにエドゥルはひれをちぎられ海底に消えて行った。
「あのイルカどもが先だ、追えっ、食いちぎれっ!」
海底に沈みながら彼はひとりごちした。
「時間稼ぎにもならないか、だがオオグソクムシよ、確かにベルーガに渡したぞ、アガルタの鍵を。そうだ、お前に名を付けてやろう『エドルド』とな…」


銀の竜を受け取ったベルーガを仲間が囲んでいく。それは次々と集まり球体になっていった。サメが一頭ずつ噛みつき穴をあけてもすぐ別のベルーがその穴を塞ぐ。
戦う術を持たないベルーガは黙って沈んでいく。圧倒的なサメの数はついに年老いたベルーガを丸裸にした。

ベルーガは銀の竜の入った袋を飲み込むと、ありったけの力を尾ひれに込めた。
「ラミナ様、あなたの残した人魚の卵は、再びセイレ様となりました。アガルタは必ず元の様に戻れますよ…」

「この老いぼれが、観念しろ!」
追いついたホオジロザメがその大あごを開いた。


「下がりなさい、サメたち」
澄んだ声が響き、サメの動きが止まった。皆の視線の先に『セイレ』が現れた。マオが見たら、その姿はアキナと、メイフならばカルナとそしてベルーガにはラミナに映ったナ、ダルナ、マーラいやクシナにもそして里奈にも似ていた。全ての人魚たちに通じるその気高さはあの凶暴なホオジロザメでさえ、疑う事のできない『エスメラーダ』の姿だった。

「エスメラーダ様、エスメラーダ様だ!」
沈黙を破ったのは老いたベルーガだった。堰を切った様に『エスメラーダ様』と呼ぶ声が海中に響いた。アガルタの生き物たちにかけられていたダーマの呪縛はたちどころに解き放たれた。
「何か来る、巨大な影が…」
一頭のイルカが叫んだ。それは見た事の無い形、例えるならナガスクジラのようだ。


  


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2016年01月18日

キレのいいビール



あのホップの苦み、あのスッキリした爽快感に勝るものはない。
軽妙なJazz やエリック・サティの曲に耳を傾けながのビールは、
何ものにも替え難い貴重なひとときの気がする。

ビールの歴史を遡れば、
メソポタミア時代まで遡(さかのぼ)ってしまうようだ。
ハンムラビ法典で知られる古代バビロニアの
シュメール文明の遺跡から発掘された粘土板にも、
「ワイン」や「ビール」を指す言葉が出てくる。
実際、庶民はビールを呑み、高級階層はワインを呑んでいた。

古代バビロニアは、酒とは切り離せない深い関係にあった。
かの法典には、
酒の量をごまかしたら死刑になるという物騒な法律もあっM2數學たという。

さすがに、酒とは深いつながりのある古代バビロニア時代、
酒の女神として崇められていたのは、
「シドゥーリ(Siduri)」。

この名を冠したカリフォルニア・ワインがある。
庶民的な価格帯なれど、
馥郁とした香りが高く、この味わいの虜(とりこ)になった人は数知れずという
すぐれワイナリー。

今宵、Jazz Live を聴きながら、”シドゥーリ ピノ・ノワール”を傾ける。
はるか古代バビロニアの時代に思いを馳せ、
ワイナリーのある「カリフォルニアの青い空」も思い浮かべつつ、
恵みの一雫を頂戴する。

グイッと一杯引っ掛けただけで、
たちまち、この紅い「女神」の虜になってしまった。
  


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